スズキ・アルトF(HA36型)は、無駄を削ぎ落としたベーシックモデル。
5速マニュアル仕様は、まさに“運転を楽しむ人のための一台”だ。
エンジンは660ccの自然吸気ながら、車重はわずか670kg。
この軽さが加速性能に大きく影響しており、街中でもキビキビとした走りを見せる。

試乗車はショックアブソーバーを社外品に交換済み。
そのため乗り心地は硬めだが、高速走行時にはこの硬さが安定感につながる。
コーナリングやレーンチェンジ時にもふらつきが少なく、路面をしっかり掴む感覚が伝わってくる。
軽量ボディ+硬めの足回りの組み合わせにより、安心して100km/h以上を維持できる走行性能を実現している。
一方で、風切り音やタイヤノイズはそれなりに大きい。
しかし、この車に求めるのは静かさではなく、操る喜び。
耳に届くエンジン音や路面音が、むしろ走りの臨場感を高めてくれる。
軽の枠を超えたドライビングフィールを味わいたい人には、むしろ好ましい要素だろう。
タコメーターで“回して走る”楽しさを倍増
社外タコメーターの装着により、エンジン回転をリアルタイムで確認できるのもポイント。
加速時に5000rpm付近まで回すと、アルトFのエンジンが一気に目を覚ます。
回転上昇と共に伸びていく加速感は、軽自動車とは思えない爽快さだ。
アルトF 5MTは、高速道路でもしっかりとした加速と安定感を両立する貴重な軽マニュアル車だ。
静粛性や豪華装備を求める人には不向きだが、ドライバーが主役の走りを楽しみたい人には最適。
軽量ボディ、硬めの足回り、そして自分の操作で引き出す加速感——。
アルトF 5MTは、シンプルだからこそ“運転の本質”を感じられる一台だ。